屈筋腱損傷

症状

切り傷などにより指を曲げる腱(屈筋腱)が切れて、指が曲がらなくなります。屈筋腱の近くを走っている指の神経や血管が切れることもあり、その場合には、手指の痺れを伴います。

屈筋腱損傷

原因

切り傷や刺し傷により屈筋腱が切れて生じます。傷がなくても骨折や加齢により変形した骨によって、腱が摩耗して擦り切れる場合もあります(腱の皮下断裂)。腱が切れると力が伝わらなくなるため、指が曲がらなくなります。
親指には1本、他の指には2本の屈筋腱があります。2本の屈筋腱には第1関節(DIP関節)を曲げる深指屈筋腱と、第2関節(PIP関節)を曲げる浅指屈筋腱があります。靭帯性腱鞘と呼ばれる腱が通るトンネルがある部分の損傷は特に治療が難しいと言われています。

治療

受傷早期の新鮮例の場合には手術を行い、腱の状態を確認します。腱の断裂部位や腱の断端の状況で縫合方法やリハビリの方法が異なります。

受傷から数週間以上経過した陳旧例や、皮下断裂で腱が摩耗して切れたために腱の断端がばさつき断端同士が縫合できない場合には、切れた腱に他の腱を移植(腱移植)したり、切れた腱を正常な腱に縫合(腱移行)する場合もあります。

術後のリハビリが重要であり、術後3週間程度は入院の上でのリハビリが望ましいです。状況によって入院が難しい場合には頻回の通院リハビリが必要です。作業療法士の指導のもと、術後早期から指を動かす方法などがあります。
リハビリの目的は術後に腱の癒着を起こさない様にするものです。しかし、適切な手術・リハビリを行っても癒着が生じる場合もあり、癒着した腱を剥がす腱剥離術を行うこともあります。